定額制読み放題と今後の展望

電子書籍・電子雑誌のビジネスモデルは1冊(1ダウンロード)ごとに課金することがほとんどでしたが、近年はサブスクリプション(定額制)モデルや広告収入等により無料で読めるマンガアプリなど、さまざまな形態のモデルが導入されています。国内では電子雑誌ジャンルで「dマガジン」がこのモデルを定着させました。電子書籍も含めた定額制読み放題サービス(電子雑誌のみのサービスは除く)は、2012年12月「ブックパス」(KDDI)の「月額読み放題プラン」を皮切りに、2013年1月「コミックシーモア」の「読み放題ライト」「読み放題フル」、2015年7月「Yahoo!ブックストア読み放題」がそれぞれ開始されています。「ブックパス」は昨年度の調査で約2万冊だった対象書籍が4万冊へと拡大し、利用者も増えているということです。「Yahoo!ブックストア」では、「『無料作品』で集客し、『読み放題』で会員化(月額課金化)し、『アラカルト販売』でさらに収益性を高めていく」と、明確な導線を敷いています。この数年、電子書籍の普及の鍵としていわれるのが、本の“ディスカバラビリティ”(発見される能力)なのです。既存の出版ビジネスでは、書店店頭での販売力で勝負してきましたが、書店の絶対数が減り、そしておそらく書店の集客力そのものも落ちている今、スマートフォンのようなプラットフォーム上で、いかに本(電子/紙、書籍/雑誌を問わず)との出会いを演出できるかというのは、既存の出版ビジネスにとっても最重要課題といえるでしょう。

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